腎臓病用キャットフード
腎臓病は、猫にとって非常にかかるリスクの高い病気です。
腎臓は本来、老廃物を体外に排出したり、血圧を調整したりする役割があるので、腎臓病になってしまうと猫の全身に大きな負担がかかってしまいます。
今回は、腎臓病にかかってしまった猫のためのキャットフード(療法食)について、特徴や選び方、与える際の注意事項などをご紹介したいと思います。
1.腎臓病用キャットフードの特徴と選び方
腎臓病で療法食を与える主な目的は
・血中のリン濃度を低減させること
・腎臓で処理しきれないタンパク質を減らすこと
です。
リンとタンパク質が腎臓にどのような影響を与えるのか、どのようにして対策するのかを見ていきましょう。
まず、腎臓病にかかると、リンが排出されづらくなり、身体の中に溜まってしまいます。
リンが体内に溜まると、「高リン血症」という病気になってしまい、骨がもろくなったり心臓に負担がかかったりしてしまうのです。
このため、腎臓病の療法食では、リンが少ない、あるいはほとんど入っていないものを与える事が基本です。
また、リンを摂取しないだけではなく、体内に溜まったリンを排出する必要がありますので、療法食と併せて、リンを吸着して体外に出すためのサプリメントを病院から渡される場合もあります。
腎臓病にかかった場合「リン」は非常に重要なキーワードなのです。
腎臓病用キャットフードのもう一つの大きな特徴は、「低タンパク」であるという点です。
健康な猫に与えるべきキャットフードは、なるべく多くの動物性タンパク質を含んだものが良いとされています。
ですが腎臓病にかかると、タンパク質を分解するために腎臓に大きな負担がかかるため、療法食はタンパク質も控えめにした材料で作られています。
このような特徴を踏まえ、腎臓病のキャットフードを選ぶ時は
・リンの含有量がなるべく少ないもの
・タンパク質がなるべく少ないもの
をポイントにすると良いでしょう。
2.腎臓病用キャットフードを与える時の注意点
2-1.切り替えは時間をかけてゆっくりと
多くの飼い主さんは、病院でアドバイスを受けた療法食を買ってきて与えているとは思いますが、従来与えていたキャットフードから療法食へ切り替えるのはとても大変ですね。
急にすべての食事を療法食にしてしまうことは猫にとって大きなストレスとなり、療法食そのものへの拒絶反応に繋がりかねません。
これまで与えていたフードに少しずつ混ぜる、水でふやかして温めたものを与えるなど、ちょっとした工夫で療法食でも猫の食いつきが良くなるケースはたくさんあります。
キャットフードの切り替えは思ったより時間がかかるもので、3週間から4週間を目処に少しずつ行う方が良いそうです。
最初は嫌がって食べてくれないかも知れませんが、根気よく、少しずつ与える事で猫も徐々に慣れてくるのでじっくり取り組んでみてくださいね。
2-2.健康な猫には与えない
どの療法食も「健康な猫には与えない」ということが言えますが、腎臓病用キャットフードに関しては、特にこの点に関する注意が必要です。
理由は栄養素にあります。
本来、猫は完全肉食動物なので、良質な動物性タンパク質と適量のミネラルが含まれたフードを与えるべきですね。
ところが、腎臓病にかかった猫の場合は、通常よりもずっと少ないタンパク質量に抑えたフードを与えるようになります。
これを健康な猫が食べると、タンパク質やミネラルの不足が起こり、筋肉の衰えや目・心臓などへの負担が大きくなりかねません。
多頭飼いをしている飼い主さんは、この点にはよく注意して、療法食と通常食はフードキーパーに入れて、猫が誤食しないようにしてくださいね。
3.まとめ
腎臓病の猫に与える療法食の特徴・選び方と、与える時の注意点についてご紹介しました。
猫の腎臓病は、一度かかると完治が難しく、療法食を与える事で進行や悪化を防いでいく非常に時間がかかる病気です。
ですが、適切な療法食を与える事で寿命が延びたり、症状が抑えられたりしたという報告はたくさんありますので、食事の側面から猫が少しでも楽に、そして長く生活を共にできれば嬉しいですね。
今回ご紹介した内容が、療法食選びの参考になれば幸いです。