心臓病用キャットフード
万が一大切な猫が病気になったら、病院にかかるのは勿論ですが、自宅でもできる限りの手を尽くして症状を緩和してあげたいものですね。
今回は、心臓病になってしまった猫のキャットフードについて、特徴や与え方などをご紹介していきたいと思います。
1.心臓病の猫に与える療法食の成分と特徴
心臓に病気があると診断された猫には、心臓病専用の療法食を与える必要があります。
心臓病療法食にはいくつか特徴があるので、それらをひとつひとつ見ていきましょう。
1-1.塩分とカリウムが控えめになっている
塩分が多い食事は喉が渇き、水を飲む量が増えてしまいます。
体内の水分量が増えると心臓への負担が増加するため、心臓病療法食ではナトリウムを控えめにしています。
また、ナトリウムとのミネラルバランスを取るため、カリウムも控えめに配合されていることが多いのです。
1-2.タウリン、L-カルニチンを多く含有している
心筋(心臓の筋肉)の健康維持に必要な、タウリンとL-カルニチンを多く含有しています。
また、タウリンは猫にとっての必須栄養素で、心筋だけではなく目や肝臓の健康維持には欠かせないものです。
心臓病で他の臓器が弱っているおそれがある猫にとっては、タウリンをたっぷり与える事は必要不可欠と言えるでしょう。
L-カルニチンは、心臓病にかかると欠乏が指摘されていますが、それが病気のせいで欠乏するのか、欠乏したから病気になるのかは未だに解明されていません。
いずれにしても、心臓病の猫はL-カルニチンが不足している状態なので、療法食で補完してあげる必要があります。
1-3.リンを制限している
リンはカルシウムと結合して「リン酸カルシウム」となり、健康な骨や歯を作る役割を果たします。
一方で、リンの過剰摂取は腎疾患の原因となることも。
腎疾患は心不全を併発するため、心臓病療法食ではリンを最小量に抑えて作られているのです。
1-4.ビタミンB群、マグネシウムを多く含有している
猫にとって必須栄養素と言えるビタミンB群。
特にビタミンB1、ナイアシン、ビタミンB2などは、スムーズな消化・排泄を行う上で欠かせない栄養素です。
また、マグネシウムは、神経伝達や筋肉の収縮、つまり心筋の働きに必須のミネラルで、心臓の健康維持には欠かせません。
心臓病の治療では利尿剤を使うため、猫のおしっこの回数が増え、これらのビタミンB群、マグネシウムが体外に排出されやすい状態になるのです。
療法食では、ビタミンB群とマグネシウムを補完し、欠乏を防いでいます。
2.心臓病の猫にとって食事はとても大切
愛猫が心臓病と言われた場合、まず、自宅でできる治療は「食事の見直し」です。
なぜならば、健康だった時に与えていたキャットフードの中には、心臓に大きな負担をかけるものもあるからです。
また、食事は心拍を上げる効果があるので、食事そのものが心臓病の猫にとっては大きな負担にも。
動物病院でせっかく薬を処方してもらっていても、食事で負担をかけてしまっては意味がありませんね。
病気の時に与える食事を「療法食」と言います。
病院では薬というアプローチ、そして自宅では適切な療法食というアプローチで、猫の症状を少しでも緩和してあげられるようにしましょう。
3.心臓病療法食の与え方
上記でご紹介したとおり、心臓病療法食は塩分が控えめなため味が薄く、なかなか切り替えがうまくいかない…というケースもあるようです。
そこで、療法食でも抵抗なく食べてくれるための工夫をいくつかご紹介しましょう。
3-1.温めて匂いを強くする
食べ物は熱で匂いが強くなるため、療法食も軽く温めて与えていましょう。
ウェットフードの場合はお皿に空けて、ドライフードの場合は、お皿に空けてフードが半分浸るくらいの水分を足してから、10秒程度電子レンジで温めることで匂いが強くなりますよ。
3-2.スープをかけて好みの匂いにする
猫によって好みがありますが、鶏のササミを少量茹でた茹で汁をフードにかけてあげることで食いつきが良くなることがあるそうです。
このとき、スープが熱すぎると療法食にかけたときに栄養素が壊れてしまうため、スープは人肌程度に冷ましてからかけるようにしてくださいね。
3-3.おやつをトッピングする
少量のおやつであれば症状に影響がないので、療法食への食いつきが悪い場合はトッピングしてあげるのも良いでしょう。
療法食の上におやつを乗せて匂いで誘うことで食いつきが良くなるケースもありますよ。
ただし、いつも通りにおやつをあげてしまうと、おやつでお腹がいっぱいになってしまい療法食を食べなくなってしまうので、あくまで「トッピング」として与えるようにしてくださいね。
4.まとめ
心臓病用の療法食についてご紹介しました。
心臓の病気は目に見える症状が少なく、長期的に治療に取り組まなければならない場合が多いため不安もありますが、キャットフードで改善出来ることは少なくありません。
通常のキャットフードから療法食に切り替えたばかりの頃は、なかなか猫が慣れてくれずに困ることもあるかもしれませんね。
そんな時は、今回ご紹介した方法を試してみてください。
猫を再び元気な姿に出来るよう、病院から指示・指定された療法食でじっくりと治療に取り組んでいきましょう。